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原 石 編

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7月号【奇石・珍石-その8“松茸水晶”】
2005-07-01
 奇石・珍石-その8【松茸水晶】

頭が膨らんだように見えるが、普通に知られている柱状の結晶の上部に 後から別の結晶が大きく成長して、まるでキノコのように見える変り種の結晶である。幹の部分の上に大きな傘部が発達しているその形から『冠水晶 Scepter quartz』とも呼ばれることがある。松茸水晶も冠水晶も共に俗称だが、幹の部分と傘の部分とでは色が異なっている場合が普通である。幹の部分は無色なのに、傘の部分はアメジストであったり煙水晶である場合が多い。時にその逆の場合もあるようだ。これらの結晶を分析すると、幹部と傘部で結晶成長の条件が大きく変化した事がわかる。このような相互の成長の関係を“エピタキシー epitaxy”と呼ぶ。
この手の結晶は、一つの晶洞中で族生している水晶群の中で大形の結晶だけに見られるという傾向にあるようだ。この形状の結晶は世界中で産出を見ているが、しかし自然界の芸術性を感じさせられるものはそう多くはない。美しい結晶として日本で古くからよく知られているのは、韓国の慶尚南道 神仏山産のものである(写真)。

エピタキシー:    基盤となる結晶面上に、同種または別種の結晶が、一定の結晶学的の
関係をもって成長するときをいう。
 
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