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原 石 編

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2004年5月号【湾曲結晶・曲がりアクアマリン】
2004-05-01
『湾曲結晶・曲がりアクアマリン』
ここに取り上げたものは、不思議な状態の『緑柱石(アクアマリン)』の結晶である。それはほんのわずかにから、目にはっきりと見えるまでに反った部分から成っている。よく見るといくぶん捩れながら、見事なまでにグニャリと曲がっている。しかしこの曲がり方はものすごい。
このアクアマリンは、ブラジルのミナスジェライス州で産出したもので、典型的な“ペグマタイト”の産状を示している。結晶の両側に、平行位置でトルマリンや長石の結晶が並んでいるのがわかる。
しかしアクアマリンの結晶が、これほどまでに派手に折れ曲がっているのはなぜだろう。通常ではこれほどまでに結晶は曲がらない。アクアマリンの結晶が出来た後にその進路に発生して成長を妨害した他の鉱物が溶解してしまったか、またはその進路に存在していた空洞壁内で部分的に別の結晶化が起こった結果、そこが障害物となりその行く手を遮ったかである。正確なことはその産出現場を見ていないからわからないが、アクアマリンの結晶の曲がっている裏面の部分に細かな結晶面のズレが存在しているから、おそらくはこのアクアマリンは後者の状態でできたものだろう。
しかしよくもまぁ曲がったものだ。冗談だが、まるで結晶を柔らかくしておいて反り曲げたように見える。『輝安鉱』や『石膏』の中には、手の力である程度は自由に折り曲げられるものもある。しかしこれは緑柱石である。到底折り曲げられるはずはない。
話を変えるが、曲がった結晶が見られることでよく知られているのが水晶である。まるで研磨して作ったかのようなシャープな六角柱状の形で知られる水晶の結晶の中に、いかにも人為的に反り曲げたように見えるものがある。『Gwindel型水晶』と呼ばれているもので、スイスの“アルプス型熱水鉱脈”中にもっとも典型のものが知られている。
水晶の結晶では、微小な平行連晶の集合や双晶が原因して曲がるといわれている。このアクアマリンの結晶も、詳細に研究すると曲がった原因が掴めるかもしれない。
 
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