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原 石 編

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2004年6月号【ダイアモンド含有砂礫層】
2004-06-01
 【ダイアモンド含有砂礫層】

ダイアモンドはマントル起源の岩石である『キンバーライト』や『ランプロアイト』に運ばれて地上近くまで運搬される。その貴重な宝石を含んだ岩石は地上では風化に弱く、含まれているダイヤの結晶は原岩から外れ、やがては風化して生じた砂礫などと共に川などに流出する。流されたダイヤは、自然淘汰の結果やがては特定の場所に集中して堆積することになる。それは砂礫岩盤の上であったり砂礫層の中であったりする。時には“砂金”と共に堆積していることもある。
18世紀のブラジルでは、ガリンペイロ達が砂金を掘っていてダイアモンドを発見した。しかし当初はそれがダイヤとは気が付かず、ポルトガルのリスボンの取引所にダイアモンドとして現れたのは1728年になっての事であった。写真は、ブラジル バイア州のディアマンチナの川底の砂礫層から採集されたダイアモンドを含有している砂利で、矢印の部分がダイアモンドの結晶。
このような産出状態のダイヤを『アルビアル・ダイアモンド alluvial diamond』という。アルビアルは『沖積』という意味で、風化により原岩から外れたダイアモンドは、転動、躍動を繰り返し、やがては蛇行の角など流れの窪地に他の重い鉱物粒と共に沈積する。しかし川底を運搬される内に、結晶は衝突と磨耗を繰り返す。結果、ダイアモンドの結晶がいかに強固な結合組織を有しているとはいえ、本来致命的にひびだらけで低質のものはバラバラに砕けて消滅してしまう。したがって砂礫層など堆積鉱床中に発見されるダイアモンドは、キズが少なく宝石品質のものの比率が多いことになる。
ダイアモンドの品質評価といえば、現在の日本では“GIA方式”が主流を占めているが、スカンジナビア規格ではこの“川から採取される”上質のダイアモンドの用語を使用した『リバー・ツー・イエロー・システム』が使われていた。南アフリカでは、キンバーライトから掘削している原石よりも川底の堆積鉱床からのダイヤの方が純白でキズの少ないものが多いことからこの評価システムでトップランクに川(River)の用語が使われたのである。
 

スカンジナビア規格
Scandinavian Diamond Nomenclature
1968年1月から69年11月までの間、スカンジナビア諸国(デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン)の宝石業代表者により討議決定されたグレード基準のこと。
【カラーのグレード評価】は、『(リバー+)River+』から『(イエロー)Yellow』まで10段階に分けられている。
 
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