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原 石 編

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2004年8月号【サファイア】
2004-08-01
《薬研山 枯岩肌にスミレ花》
【サファイア】
サファイアやルビーはコランダムに分類される鉱物であるが、美しい宝石級のものが世界の10数カ国で発見されている。コランダムはその性質から化学的に安定していて風化には強く、さらに母岩の風化後に起こる運搬作用にも抵抗力があり、堆積物の中から美しい結晶のままで発見されやすい。“スリランカ”や“マダガスカル”は堆積鉱床の中から原形を留めたまま美しい結晶が産出することで世界的にも知られている。しかし残念なことに、我が国は宝石級のコランダムの産出には恵まれていない。そんな中で、岐阜県蛭川村の薬研山や奈良県香芝市の二上山からは宝石級の色と透明度を持ったブルー・サファイアを産出することで知られる。しかし何分にも極くごく小さい。二上山のものは文字通り“砂粒の宝石”である。写真のものは薬研山のサファイアである。薬研山に分布している花崗岩は部分ぶぶんで熱水作用や気成作用を受けて変質している。結果、リチウムを含んだ『鉄リチア雲母』などに変化し、その中にサファイアの結晶が六角形の薄板状や柱状を成して成長している。
標本中のサファイアの多くは六角の薄板状で、1cm前後の結晶が多数成長している。透明度はやや落ちるものの、色はミャンマー産ブルー・サファイアのトップ・グレードに匹敵する。その結晶をよく見ると“トラピッチェ構造”を呈しており、花のように見える。
 
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