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原 石 編

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2004年11月号【奇石・珍石-その2-“舎利石・舎利母石”】
2004-11-01
 奇石・珍石-その2【舎利石と舎利母石】
『シャリ』と聞けば一般の人はまず寿司の事を頭に思い浮かべる。寿司屋で米粒の事を“(銀)シャリ”と呼ぶからだが、そのシャリとは“舎利”と書き、骨の粒つまり仏様の骨片の事である。シャリはその遺骨を呼んだ梵語を訳した言葉であり、飯粒の小ささを骨片に見立てて呼んだのである。しかし食べるものにシャリとは、なんだか不謹慎な気もしないではない。
そんな神聖なる名前が付いた石がある。【舎利石】と【舎利母石】がそれで、“しゃりいし”と“しゃりぶいし”と読む。写真左は、石の世界で『舎利石』と呼ばれているものである。玉髄(カルセドニー)や瑪瑙(アゲート)の微小な自然円礫で、元は溶岩の空隙内に形成されていたものである。溶岩は地表に噴出した際に減圧のために急激に圧力が減る。するとマグマ中に溶け込んでいたガスは急激に泡立ち、膨張して溶岩の外に抜け出す。そして抜け出たところに、続いてマグマ中の珪酸分が浸透し玉髄が形成されたと考えられている。こういう出来方であるから空洞粒の大きさや形には制約ができ、大きなものや不規則なものは出来ないわけである。右の写真はその玉髄の玉が含まれている状態で、帯緑灰色の母岩は『輝石安山岩(アンデサイト)』という溶岩の風化したものである。その中に芥子粒大から鶉の卵大の、丸から丸に近い玉髄が多数胚胎されている。この母岩が風化すると玉髄が分離する。これが“舎利石”で、母岩を“舎利母石”という。これを昔は仏舎利に代用したのである。
 
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