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原 石 編

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2004年12月号【奇石・珍石-その3-“子ぶり石”】
2004-12-01
 奇石・珍石-その3【子ぶり石】

この何とも不思議な形をしたものが“オパール”だと言ったら信じられるだろうか。『珪乳石(けいにゅうせき)』と呼ばれるもので、不純物を多量に含有するオパールである。地層中の珪藻化石から供給された珪酸が形成した“ノジュール nodule”で、石川県能登の珠洲市の本村に産する。新生代第三紀中新世の海底堆積物である『珪藻土』の中で、その時代以降に形成されたと考えられている。土地では『子ぶり石』と呼ばれるが『仏石』とも呼ばれる。この珍石は江戸時代の『雲根志』にも“仏石”とか『菩薩石』の名で記載されている。柔らかな珪藻土の中に過飽和な珪酸の部分が生じ、その部分に周囲の珪藻化石から供給された珪酸が付着することにより、この不可思議な形の塊りを形成した。その際の生成の温度が低かったのでオパール状態の珪酸の“ノジュール”となったわけである。しかしそれらには同じ形態のものが2つと無いと言われ、仏像や人形(ひとがた)のもの、動物の形をしたもの、子供をおぶったように見えるもの等じつに不思議なものが多い。
 

ノジュール
“団塊”とも言い、堆積岩中で特定の成分が集中して形成されるもの。周囲の堆積岩よりも硬く緻密である。それを作る成分は“珪酸”の他“炭酸カルシウム”“硫化鉄”“水酸化鉄”“炭酸鉄”などが知られる。

珪藻土
Diatomaceous earth。『ダイアトマイト Diatomite』ともいい、海底、湖沼底、湿地中に珪藻の珪質殻が集中沈殿して生じる。白色の泥状のもので、良く知られた“七輪”の材料の他、研磨材としても使われる。
 
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