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原 石 編

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2005年1月号【奇石・珍石-その4-“サンドダラー”】
2005-01-01
 奇石・珍石-その4【サンドダラー パイライト もう一つの形態】

『頁岩(けつがん)』の堆積面の透き間に薄い円板状の金属鉱物が発見されることがある。それは径5mm大から20cm程度のものまでと、様々な大きさのものが見られる。それらのものは極めて特徴的な形をしており、一見したところでは藻類の化石のように見える。しかしこれは生物とは全く無関係で、金属鉱物の集合体である。“頁岩(Shale)”は炭化植物を豊富に含む砕屑物(シルト Silt)が堆積して形成された岩石である。
地下水が堆積岩中に豊富に存在する鉄分と硫黄分を溶かし出す。堆積面の透き間に小さな結晶核が生じると染み込んだ地下水中から発生核を中心として、まるで自転車のスポークのように放射状に広がっていく。それは地下水に溶けた鉱物の養分が無くなるまで成長を続ける。このような放射状の形になる原因としては次のような理由も影響していると考えられる。一般には『パイライト(Pyrite)』と呼ばれてはいるが、正確には『マーカサイト(Marcasite)』である。等軸晶系の“パイライト(黄鉄鉱)”ではなく斜方晶系の“マーカサイト(白鉄鉱)”であるが故にこのような形の放射状円板となり易い。
この標本はアメリカのイリノイ州に産出したもので『サンドダラー』と呼ばれている。
 
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