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原 石 編

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2005年3月号【奇石・珍石-その6“毬石”】
2005-03-01
 奇石・珍石-その6【毬石 パイライト もう一つの形態】

逃走の際に忍者が撒き散らす“撒き菱(まきびし)”の様な形をしたこの鉱物は『褐鉄鉱』である。水酸化鉄の鉱物で、正確には『鱗鉄鉱(りんてっこう・Lepidocrocite)』である。しかし今眼にしているものは本来のものではない。元々は“白鉄鉱”として結晶したものである。見出しに“パイライト(黄鉄鉱)”と書いてあるが、この元の鉱物は『マーカサイト(白鉄鉱・はくてっこう・Marcasite)』の方である。
既号【奇石・珍石 その4】で取り上げた『サンドダラー』も同じく白鉄鉱である。しかしそちらの方が堆積岩の“層理面”の中に生じた結晶核を中心として、平面上の隙間に放射状に形成されていったのに対し、『毬石(いがいし)』の方は比較的に空間群が豊富な環境で形成されたものである。
標本は、エジプトから50km東方のリビア砂漠で発見されたものである。当所の標本室には写真のものだけでなく、複数のものを保管しているが、基本的な形状としては全てが同一である。しかしサンプル毎に刺の形状には違いがあることがわかる。かなり鋭利で白鉄鉱の平行連晶の状態が判るものは、如何にも知らずに踏みつけたら“痛い”と叫びそうである。また形成後にいったん溶けて結晶の表面が丸まってしまい、何かの木の実のように感じられるものもある。
毬石は、乾燥した砂漠の砂か砂泥の中で低温環境下で形成されたことが判る。刺の丸まったものは、その後に水分の影響を受けて溶けたものだろう。そしてそれらはその後酸化して現在のものへと変化したと考えられる。
 
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