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原 石 編

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2003年6月号【紫水晶の産出状態のひとつ】
2003-06-01
-ブラジル リオ グランデ・ド・スル州 イライ鉱山産-
 
【紫水晶の産出状態のひとつ】
アメジスト(紫水晶)は、熱水鉱床やペグマタイト鉱床に産出されることで知られるが、そのもっともよく知られた形状は、いわゆる“サンダースエッグ”と呼ばれる球状体の中に集合する結晶群だろう。
またそれに比べると産出量は小さいが、メキシコのベラクルツ産に見られるような、明るめの色をした長柱状のアメジストもある。それは時に、林立した晶群を成すことでも知られる。
じつはこの宝石、水晶の中でも、未だその産出の仕方については不明の部分の多いことでも知られる。合成実験の結果から、紫の色の原因は解明されたものの(特にサンダースエッグ中での紫色の原因など)、実験の結果からでは説明できない部分も多い。
ここに紹介した標本もその一つ。この形を見ていると、宝石という物質に携わる人の携わり方によっては色々な解釈が浮かんでくる。
結晶を合成している人は、曲っている部分から新しい製法を、
鉱物の研究者は、曲り方から成因の究明を、
我々宝石の鑑別技術者は、合成との相違点を見つけるポイントを考えることができ、
そして標本商は新たなセールスポイントを考えるだろう。
クリスタルのヒーラーは、曲るはずのない固い結晶が軟らかく折れ曲がった原因を何かに求めるかも知れない。
しかし現実には、“紫絹のアメジストの羽衣”が、切り立った岩場に舞い下りたかのように見えて面白い。
想像はさておき、何百万もする宝石よりは親しみ易い・・・。
 
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