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カット石編

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2004年7月号【縞瑪瑙】
2004-07-31
【縞瑪瑙(banded agate)】
<  瑪瑙(Agate)や玉髄(Chalcedony)は、化石として生物の遺骸を置き換えたり、岩石の亀裂や空間部に形成されることで知られる珪酸鉱物である。この鉱物は、その成分と生成の仕方から地球上では広範囲に産出されることで知られる。
海外、特にアメリカでは、この宝石と水晶のインクルージョンのコレクション熱は大層なもので、専門の『トピカル・コレクション』人口が多い事でも知られる。彼らは、休日などには専門の“キャンピングカー”を駆って州越えまでして、かなりの遠くまで採取に出掛ける。
宝石瑪瑙としてもっとも良く知られた産出状態は、玄武岩の空洞内部に見られるものである。瑪瑙の外形は空洞の形によって決定され、二つとして同じものがない。さらには、空洞内部への含珪酸溶液のもたらされ方とその溶液の状態によってその後の形成が大きく左右され、その結果個性的な色と模様をもった宝石が無限大の数量で作られることになる。このような出来方をしている空洞はジオードと呼ばれる。
この宝石の形成は、空洞内に侵入した含珪酸溶液が壁面を濡らし、そこに微小な種子結晶を沈着することから始まる。その後空洞壁に沈着した結晶粒子からの電気的な引力で成分が付着し連続性や周期性が生まれ、閉じられた内部で縞模様が出来る。やがて溶液の飽和度が低下し、空洞の中心部に向かって、今度は残液中から『水晶』の結晶が成長を始める。やがて壁面からの引力がなくなると、沈着は地球の引力に支配されるようになり、残液からは結晶度の小さい粒子の集合体となって水平な層が沈殿形成される。この縞模様を特別に『ウルグアイ縞』と呼ぶ。(写真の中央部)
それは時に“オパールに相当する質”であったりもする。このようにして形成された瑪瑙は、各層中に選択的に鉄分などを含むことが多いので、このジオードが形成後に地熱などの影響を受けて再加熱されると、写真のような美しい色の縞をもつことになる。写真はブラジル産。
 
ジオード(Geode)
“異質晶洞”といい、岩石が出来た後の空洞内部に別の鉱化作用で別の鉱物の集合が成長したものをいう。
 
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