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カット石編

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2004年8月号【マホガニー・オブシディアン】
2004-08-01
『マホガニー・オブシディアン(Mahogany obsidian)』
オブシディアン(黒曜石)は、安山岩等の溶岩が急速に冷却されて結晶化できずに溶融状態を留めたままで固まった天然のガラスである。オブシディアンは通常は黒色の不透明(~半透明)で、その割れ口がガラスに典型の鋭利さを示すところから、古代に於いては石器を作る材料として使われていたことで知られている。これは世界中の古代人に共通のことである。
この他オブシディアンには、黒色のものばかりではなく特徴的な模様を持ち装飾性に富んだものがある。“石英や長石”の粒が黒色の地に斑紋状に発生しているものは、その状態から『花黒曜石(Flower obsidian)』とか『雪花黒曜石(Snowflake obsidian)』と呼ばれる。また気泡や微小結晶の集合が集中して、金色や銀色そしてピンク色に見える反射光を示す『Gold seen、Silver seen、Pink seen obsidian)』と呼ばれるものがある。さらには虹色の反射光を表わす『Rainbow obsidian』と呼ばれるものも知られる。
写真は『マホガニー・オブシディアン(Mahogany obsidian)』として知られるもので、酸化鉄に富む部分が流動模様を表わしている。その模様を“マホガニー木材”の肌に見立てて、単に『山マホガニー(Mountain mahogany)』とも呼ばれるが、装飾品や彫刻の素材として珍重されるものである。もっとも知られているものはアメリカとメキシコのものであるが、北海道の『十勝石』『北見石』と呼ばれる黒曜石の中にもこの種のものは見られる。この標本は北海道の十勝産のもので、本家アメリカのものよりも装飾性に優れている。完全に無色透明な生地の中に黒色と褐色の流動模様が入っていて、まるで人工的に作られたガラス、いや“墨流し”のように見え、火山が生んだ芸術品と言える。
写真左側の3点が十勝産、右側はアメリカ オレゴン州産
 
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