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カット石編

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2004年10月号【ハワイアイト】
2004-10-01
ハワイ産ぺリドット 下の2つはカット石
『ハワイアイト(Hawiite)』
【ハワイアイト Hawiite】はハワイ産のぺリドットに対して付けられた名称である。
『ハワイアン・ぺリドット Hawaiian peridot』ともいうが、じつはその本物にお目にかかることはまずない。観光客が海外で購入してきたものを除く我々宝石業界に流通しているぺリドットは、アメリカのアリゾナ州のもの、ニューメキシコ州のものが多い。やや少ないものの、オーストラリア産、ノルウェー、ミャンマーのものもある。最近ではアフガニスタンや中国産のものが大量に日本に輸入されているというのが現状である。
しかしこの宝石の知られ方は洋の東西では大分異なる。
ヨーロッパでは、宝石用ぺリドットのそれらの産地はエジプトの沖合いにあるZebergetである。ノルウェーやオーストラリアもその産地として知られており、また北ビルマ(現ミャンマー)産の石は、その深い色合いから最高級のものとして知られていた。だが日本では、ここ30年宝石学が広まるにつれてぺリドットの産地は知られるようになったものの、しかしそれ以前、とくに大正時代から昭和にかけては、日本ではこの宝石の産地として一般にはハワイはもっともよく知られた場所であった。ぺリドットは黒サンゴと共にハワイの特産として世界的にも知られているが、そのじつ産出量はあまり大きくない。そこで知られ過ぎた人気を賄う為に代用されたぺリドットは、同じアメリカでもハワイ州のものではなく、ニューメキシコやアリゾナ州などアメリカ内陸のものであった。またハワイ産とはいうものの、日本産の黒サンゴをハワイ州に輸入したという裏事情もあったようだ。
ハワイ諸島のいくつかの海岸から、砂粒大や稀にそれよりも少しばかり大きいぺリドットが見つかっている。しかしそのほとんどはカット出来るほどの大きさにはないので、このぺリドットのカット石を目にした人はあまりいないということになるのである。多くの人が持っている“ハワイ産ぺリドット”というものをいくら見せてもらっても未だにハワイ産と判別できるものは見いだせない。宝石学の文献に、「ハワイのぺリドットには“気泡”と見まがう小さな丸い粒が入っている。しかしそれは実際には溶岩から分離して取り込まれた“ガラスの粒”である」と書かれている。ハワイ産のぺリドットはややくすんだ緑色をしている。現実に日本人観光客がハワイ土産として買ってくる大粒のぺリドットのような明るい黄緑色はしていない。
 
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